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「巫覡(ふげき)とは、千年に渡り受け継がれてきた聖職者のことである。不思議な霊能力を持ち、天地の神や霊と意思を通わせ、人々のために災いを退け、利益をもたらす存在だと伝承されている……」

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[player] 「巫覡(ふげき)とは、千年に渡り受け継がれてきた聖職者のことである。不思議な霊能力を持ち、天地の神や霊と意思を通わせ、人々のために災いを退け、利益をもたらす存在だと伝承されている……」
[player] 「……閉鎖的な環境で育てられた者が代々占いや伝統医療、儺舞(なぶ)や祈祷などを学ぶ。その能力や行為、考え方は現代科学で完全にまで解明できず……そのため、内向的な性格の者に適した伝統的な十大職業の一つである……」なんだこれ……結論がおかしいぞ?
[-] さっさと読み飛ばしてしまった冒頭部分をよく見てみると、「南湘 巫覡」でヒットしたこの記事は「一飜市で発見! 不思議な職業」という大見出しが付けられている。小さな著者欄まで視線を滑らせて、やっと著者があの寺崎千穂理さんであると気づいた。
[player] ……なるほど、ならこのおかしな結論になるのも別におかしくはないな。
[-] でもこの記事の通りなら、苑さんの理解に苦しむ例の頼み事も頷ける。
[player] 何か私にできることはありますか?
[苑] 力をお借りしたいことが、一つあります。
[苑] 「南湘牛肉米線屋」のおすすめメニュー、麻辣牛肉米線を二つ。明日の朝、私のところまで持ってきてください。「南湘」ご当地の辛さで、ネギとパクチー入りのものを。それと大根の漬物を1皿、えんどう豆の黄金揚げを2皿、芹菜のみじん切りも3皿、それぞれお願いします。
[player] えっと? ……と……とりあえず、了解です……
[-] 「おすすめの麻辣牛肉米線」と「神招きを成功させること」の間にどんな論理関係があるのかは分からなかったが、餅は餅屋という言葉もある。「監督者」として、四の五の言わずサポートに徹するべきだろう。
[店員] はいよー! テイクアウトのおすすめ麻辣牛肉米線二人前です!
[player] ありがとうございます……! って、なんかやけに重たくないですか!?
[店員] さっき、祠堂に持って行くものだって聞いたので。軽食なんかをちょこっとサービスしときました。
[player] なんでまたそんな?
[店員] ほら、昨日うちの店長が巫覡様と口論みたくなったでしょう? そのお詫びです。なので巫覡様にお怒りにならないように伝えていただければと。神招き、頼みましたよ!
[-] 店員はそう言って私の手を強く握った。周囲で働いていた他の店員も皆、私に期待の眼差しを投げかけている……そこでふと思った。いまこの手に置かれたのは牛肉米線二人前ではなく……
[-] ……皆のずっしりと重たい期待なのではと。すると俄然、ある種の使命感に火が点いたような気がした。
[player] お任せください! この熱、私が必ず苑さんに届けてみせます!
[-] 祠堂
[player] ……って、苑さんはいないんですか?
[-] 立てたばかりのフラグがすぐに折られてしまったように感じた。重い牛肉米線をヒーコラ言いながら運び、急ぎ祠堂に駆けつけたにも関わらず、そこには青さんしかいなかったのだ。
[-] 今日の彼女は白いシルクの古風なドレスを纏い、髪型も昨日のツインお団子ではなく淑やかに見えるサイドテールに変わっていた。顔立ちは相変わらず美しかったが、気立てはわずかに違っていて、瞳の色も少し暗くなったように見えた……
[花語 青] ええ。「竹雲」の「神偶師」が体調を崩してしまったそうで、お見舞いに行ったわ。
[player] そうでしたか……ところで、「神偶師」というのは……?
[花語 青] ……
[花語 青] 名前の通り、「神偶」を作る職人よ。「神偶」は、儀式で神様に扮する時に使うもの。彼らの技術は代々受け継がれてるの。
[player] なるほどです。それとなんですが……
[player] 青さん、なんだか……昨日とは少し雰囲気が違いますね。
[花語 青] ……そう?
[花語 青] 髪型と服の雰囲気が変わったからでしょうね。役者だから、身につける衣装や小道具次第で話し方なんかが無意識に変わっちゃうの。
[player] そうでしたか。役者ってすごいですねぇ。
[花語 青] ふふ。君って、本当に面白い人。
[???] PLAYERさん、って本当に……なんて言えばいいんだろうね?
[-] 突然、隣の部屋からもう一人少女が現れた。しかもその容姿は目の前の青さんと思しき人物と瓜二つだった。そして新たに現れた少女の方を見ていると、昨日の懐かしい感覚が戻ってきたように思える。
[player] ……もしかしてこっちが、青さん? ってことは、二人は……もしや双子とか?
[花語 青] そゆこと。どう? わたしとお姉ちゃん、そっくりでしょ?
[player] ええ、確かに似てますね。でもなんとなくですが性格の方は……
[花語 青] 性格が……ど う し た っ て ?
[???] 青、そういうのは失礼よ。
[???] 自己紹介がまだだったわね。私は花語白(カゴハク)、劇団「浮夢」の座長代理よ。見ての通り、青の双子の姉でもあるわ。
[player] はじめまして。PLAYERです。
[花語 白] 話は聞いているわ。まさか昨日の今日ですぐにご尊顔を拝めるとは思わなかったけど。
[花語 青] さて。自己紹介も済んだことだし、もう遠慮はいらないよね。それじゃ早くみんなで苑のところに行こうか!
[花語 青] わたしとお姉ちゃんも苑に用があってね。ここで三人で待ちぼうけてても、苑がいつ帰ってくるか分からないでしょ……なら、一緒に行っちゃおうよ。
[player] とはいっても、「神偶師」の家がどこにあるか、私にはわからないので。
[花語 白] だったら私が知ってるわ。
[花語 青] じゃ問題ないね。早く行こ。
[-] 双子姉妹の後を追って祠堂を出ることにした。
[player] 「劇団『浮夢』の主役級女優にあたる『青衣(せいい)』の花語白と、主役級娘役にあたる『花旦(かたん)』の花語青は押しも押されぬ花形役者である。若き双子姉妹は、その圧巻のパフォーマンスで一飜市の若者が伝統舞台芸術に再注目するきっかけを作った……幼い頃から劇団で訓練を積む必要がある伝統芸術の役者という職業もまた、内向的な性格の者に適した伝統的な十大職業の一つと言えよう……」
[-] 「神偶師」の家に向かう道中、再び「一飜市で発見! 不思議な職業」というタイトルの記事を読むと、二人のことが書かれていた。
[player] ……さっきあと一行読めていたら、二人のことも事前に知れたのか。
[player] ところで、白さんと青さんはどうして祠堂に来ていたんですか……?
[花語 白] 私たち「浮夢」は「竹雲」の周年祭でパフォーマンスをするように頼まれてるの。演目も南社長自ら『白蛇伝』に決めてもらったのよ。でもそれにあたって、もっと南湘文化を採り入れるよう脚本の改編を求められちゃって。
[花語 青] お姉ちゃんもわたしも南湘についての資料をたくさん読んだの。それで修正方針をひらめいてね。どうかなって、苑に相談しに来てたってわけ。
[player] なるほど。昨日、神招きに詳しかったのも資料を読み込んだ成果だったんですね。
[花語 青] 神招き以外のこともたくさん知ってるよ。知りたいことがあったら何でも聞いてね。わたしが知らなくても、きっとお姉ちゃんが知ってるから。
[花語 白] もう、青ったら……
[花語 青] えへへ。でも実際お姉ちゃんならなんでも知ってるでしょ?
[player] でしたら質問です。神偶って、具体的にはどういったものなんですか?
[花語 青] ご先祖様が俗世に降りてくるにあたって、依り代が必要なのはわかる? つまり、ご先祖様が俗世に来た時に使う、一時的な肉体が神偶だって理解しとけば間違いないかな。
[花語 白] ご先祖様の霊が神偶に憑依して、神巡りの担当者が進むのに合わせ俗世を視察してる、って南湘の人たちは信じてるのよ。
[花語 青] そゆこと。すごいんだよ、神偶って。どれも本物の人みたいなんだから。小さいのでも人の身長の半分くらいの背丈でね。担ぎ役の「神支え」が神偶の衣装の中に入って神偶の上半身の骨組を神支えの両肩に乗せると、高さが2、3メートルくらいになって、すごく壮観なんだ!
[player] そうなんですね。どうやら勉強が足りなかったようです
[花語 青] ぷぷっ……変なの。「学問に終わりはない」ってよく言うでしょ。そんなに勉強したかったら、今度わたしが伝統劇を教えてあげる。伝統劇文化も奥深くておもしろいんだから。
[花語 白] 着いたわ。あそこの家よ。
[-] 話しているうちに、私たちは曲がりくねった通りを抜け、「無双街」の路地の突き当たりに隠れた古い邸宅にたどり着いた。その戸口あたりにいた質素な服を着た少女は、私たちを認めると出迎えにやってきた。
[質素な服の少女] はじめまして。「竹雲」の神偶師の雲(ウン)です。のちほど友人も来るかもしれないと苑様がおっしゃっていたので、お待ちしてました。どうぞお入りください。
[-] 雲さんに促され中に入る。中庭には一面に竹が生い茂っていた。自然そのままの形で生えているものもあれば、糸状に加工されたものもある。それに、なんとなく人の形をしているとわかる段階まで加工が完了したものも目に入った。
[雲] これらは「巨竹」と言って、軽くしなやかな特徴を持つ品種なんです。なので、神偶の骨組みに使っています。
[-] 簡単な説明をしながら雲さんは中庭を進み続け、私たちを広く立派な建物まで案内してくれた。
[雲] ここは神偶を保管している正殿……なんですが、電気が通ってないため照明が不十分で。申し訳ありません。懐中電灯を持ってきますので、少々お待ちください。
[-] そう言って雲さんは慌ただしく正殿を出て言ってしまった。残された私達は入り口で彼女が戻ってくるのを待つ。その間だんだん暗闇に慣れてきたので中に目を凝らしてみたのだが、思わず息を呑んでしまった。
[-] 厳かな正殿の中は巨大な神偶が並べられていた。その表情は優しげなものもあれば、恐ろしげなものもある。視線を上げると、ふいに神々と目が合ったように感じられ、薄暗さも相まって強烈な圧迫感が押し寄せてきた。これ以上神偶を凝視できなり思わずうつむいてしまった。
[花語 青] うわぁっ!?{var:Shake}
[-] 突然、青さんが驚きの声を上げて私の手を掴み、体を寄せてきた。何か怖いものでも見てしまったのだろうか。
[花語 青] な、なんかあそこの神偶、動いたような……
[player] 冗談はやめてくださいよ……って、わぁっ……! た、確かに、なにかが動いてます!
[花語 白] ……しーっ。
[-] お互いにひっついて叫んでいた青さんと私とは対照的に、白さんは落ち着いて前に進み出て、なにやら動いている神偶を観察したのち、その裾をめくる。
[-] すると中からかすかに灯った光と共に、埃にまみれた顔が出てきた。
[花語 白] ……こんなところにいたのね、苑?
[苑] うん。皆も来てたんだね。
[花語 白] 今さっき来たとこよ。それで、何してるの?
[苑] 神偶の損傷を調べてた。PLAYERさん、神招きが失敗した理由が分かったかもしれません。こっちに来て、見てください。
[-] 苑が神偶の中を懐中電灯で照らす。美しい衣装の下は「骨組み」が竹を編んで作られているのがわかった。同時に表向きは完璧に見えるその骨組みは、腐蝕して折れているところすらあることが一目で理解できた。
[player] 虫にでも食われてしまったのでしょうか……
[苑] そうですね。ちょうど梅雨どきで、このへんでもひと月ほど雨が続いていましたよね。きっとその間に虫害に……
[???] 入っていいなんて言った覚えはないんだがね?
[-] 突如、私たちを一喝する声が響く。年季を感じるその声に驚き振り向くと、戻ってきた雲さんと、見るからに体調が良くなさそうな、時折咳込んでいる老婆が入り口に立っていた。
[-] 雲さんが持ってきた懐中電灯を点けると、正殿はかなり明るくなった。
[雲] お婆様、こちらは皆、苑様のご友人です。
[苑] すみません、雲お婆様。先ほど、雲からご体調が良くないと聞いたので。お休みのところを邪魔してはいけないと思い、友人を連れてきて手伝ってもらうことにしたのです。先にお伝えできず申し訳ありませんでした。
[雲お婆様] ふん、アタシはどこも具合なんて悪くないよ。この子は過保護すぎるんだ。真に受けることはないよ。
[花語 青] ほんとに? さっきからずっと咳をしてるよね。風邪でもひいてるんじゃない?
[雲お婆様] 医者でもないのにいい加減なこと言いよって! ゲホゲホッ……ゲホッ……
[花語 青] ……
[苑] 雲お婆様。正殿はもう調べ終わりましたので。詳細は向こうで話しましょう。
[-] 皆で雲お婆様を支えながら寝室へ向かった。
[苑] 部屋の中は古風で優雅な雰囲気に包まれていた。様々な生き物の形の竹細工が置かれており、真に迫っていて生き生きとしたその姿形は、どれをとっても匠の技と心が見て取れるものばかりだ。雲お婆様はベッドに腰かけ、苑さんの両手を握りながら、ため息をついた。
[雲お婆様] はぁ……やっぱりあの神偶のせいか。
[雲お婆様] 実はアタシもこの前気づいたんだ。でも、神偶を直せる「巨竹」は「南湘」でしか採れないというのに、大雨が降ってるからって誰も山に入りたがらないときた。若者はどいつも臆病で困ったもんだよ。
[雲お婆様] もうすぐ神巡りが始まるんだ、じっとしてられるわけがないだろう? だからアタシ自ら南湘に行って、信頼できる年寄りと竹を採りに山に入ったんだよ……で、昨日ようやく戻ってきたところだ。
[苑] ええ、雲から聞いています。神巡りへのご尽力、感謝いたします。とはいえ、雨のなか山に入るのは危ないですよ。またこういうことがあったら私に言ってください。楓花様にも報告しますから。あの方でしたら、もっと安全な方法を思いつくに違いありません。
[雲お婆様] そうだね……アタシも焦ってたんだな……確かにアンタの言うとおり、山に入るのは危なかったみたいだ。途中で何かの祟りにでも憑かれちまったのかねえ、帰ってきたら頭は痛いし熱も出るし、全身筋肉痛になるし……立つこともままならなくなっちまうなんて……
[花語 青] (小声で)お姉ちゃん……苑が言った「山に入るのは危ない」っていうのは、雲お婆様の言う祟りとは違う気がするんだけど?
[花語 白] (小声で)……しーっ。
[雲お婆様] そういうわけで、今日アンタを呼んだのは、この祟りを祓ってもらうためなんだ……このままじゃ、神偶の修理が本当に間に合わなくなっちまうからね。
[花語 青] 祟りじゃなくて風邪ひいてるみたいだけど。早く病院で診てもらった方が……
[雲お婆様] 何言ってんだい。アタシはずっと元気だったんだ。ご先祖様のご加護もある。だから、あれくらいの雨で風邪なんてひくわきゃないだろう? ったく。最近の若者ときたら、孫もあんたらも皆ご先祖様への敬意が足りないから困ったもんだよ。
[player] そうは言ってもですね……
[雲] (小声で)……そのへんでもう充分です。これ以上言ってもおそらく無駄ですから。
[-] 雲さんの表情からは、これまでに雲お婆様と同様のやりとりを何度もしてきたことが容易に見て取れた。
[苑] 状況は分かりました。私が見ますので、お座りください。
[雲お婆様] うんうん。ありがとうね、苑。
[-] 雲お婆様をなだめベッドに横たえると、苑さんはそのまま何かを祈るように目を閉じてから顔を上げた。そしてしばらくして、彼女は目を開いた。
[雲お婆様] ご先祖様はなんとおっしゃっているんだい?
[苑] よく聞いてください、雲お婆様。あなたについてるのは祟りではなく、ご先祖様の力です。
[雲お婆様] なんだって? まさか、ちゃんと神偶を保管してなかったから、ご先祖様が怒ってるのかい?
[苑] いえ。ご先祖様はあなたの敬虔さに感じ入り、これ以上苦労しないようにと計らってくださった結果が現状のようです。もうこれ以上無理をせず、休養をしっかり取るようにという言伝もご先祖様からいただきました。
[雲お婆様] ほ、本当かい……?
[苑] 私を信じていただけないのですか、雲お婆様?
[雲お婆様] もちろん信じるよ。ここのところずっと、アンタは巫覡として間違ったことがないからね。そりゃあ信じるさ! はぁ……分かったよ。ご先祖様のお慈悲に感謝します……
[-] 雲さんは小声で苑にお礼を言って、雲お婆様に薬を飲ませた。苑さんがこちらに戻ってくると、私は思わず彼女に向かって親指を立てた。
[player] (小声で)雲お婆様が安心して休めるよう、優しい嘘をついたんですね。さすがです。
[苑] (小声で)嘘はついてませんよ。ご先祖様は誰より自らの子孫を愛してますから。その頑張りを見たら、体を労わってほしいと思うのは当然のことです。
[苑] (小声で)ふふっ、本当に嘘なんてついてないんです。ご先祖様と長年意思を通わせて積んできた経験をもとに、彼らの思いを代わりに伝えただけなんですから。
[player] (小声で)「死人に口なし」というか、「ものは言いよう」というか……
[苑] (小声で)あら、人聞きが悪いですね? PLAYERさんだって喫緊の些末な問題でいちいち楓花様にお伺いを立てたりはしないでしょう? 「上司の手を煩わせることなく」問題を解決できるに越したことはないのですから。
[player] (小声で)……それもそうですね。
[雲お婆様] なあ、苑……
[-] 薬を飲み終えたらしく、雲お婆様が再びやってきた。
[雲お婆様] 改めて考えてみたけど、やっぱり安心できないんだ。神偶が治ってないんじゃあ、神招きに支障が出ないわけがないだろう? それに神巡りだって……
[苑] ご心配なく。そういったことを何とかするために、私が来たのですから。
[苑] 雲お婆様は休養しなければなりません。ですが確かに神偶も修繕が必要です。しかし、雲さんだけではそれも難しい。だから、皆さんに手伝っていただきます。いいですよね?
[player] そういうことなら、なんでも任せてください。
[花語 青] 水臭いなあ。わたしたちに遠慮なんていらないでしょ?
[花語 白] そういうことよ。なんでも言ってくれていいわ。
[-] 外では空に雲がかかり、室内では、雲お婆様がベッドにあぐらをかいて、私たちをじっと見ていた。
[雲お婆様] つまり……よそから来た若者に神偶の修繕を学ばせるってことかい?
[苑] はい。心配しないでください、私も手伝いますので。
[-] ずっと謎だった苑さんの「頼み事」は、雲さんと一緒に神偶の修繕を学ぶことだったらしい。もちろん喜んで手伝うつもりだったが、雲お婆様はどうにも納得していないようだ……
[雲お婆様] 神偶を作るのも修繕するのも、アタシたち「南湘」の人間が代々引き継いできた技術だ。それを今になってよそ者に手伝わせるっていうのは……実に……
[雲お婆様] 実に……けしからんのだが……はぁ、仕方ない。アンタたちに任せるよ。
[player] ふぅ、よかった……
[雲お婆様] でも……本当に大丈夫か、簡単な質問をいくつかして試させてもらうよ。合格できなきゃ教えるつもりなんてないからね。
[player] もちろん、どんな質問でもしてください。
[雲お婆様] ではまず……アタシたち「南湘」の者が代々崇めてきた「ご先祖様」ってのは誰のことか、知ってるかい?