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もう少し自分で頑張る

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categoryStory: 

[player] ……もうちょっと、頑張ってみるか。
[-] 確かに変テコな問題だけど、負けを認めるのはまだ早い。//n小学生向けの脳トレごときに……!
[player] この私が負けるとでも!?
[-] {var:ShakeScene}……負けないよね!?
[player] ……陽菜ちゃん。解けない問題は、いっそAIに聞いちゃおうか?
[-] これは決して敗北宣言ではない!//nただ効率を鑑み、最も合理的な手段を選択したに過ぎない。//nそう、今は陽菜ちゃんの宿題を早く終わらせることが最優先だから!
[五十嵐陽菜] あー! その手があったかー!//nさすがPLAYERさん、頭いいー!
[player] ハ、ハハハ。褒めすぎだよ……。
[-] 陽菜ちゃんの褒め言葉には一片の悪意も無いはずなのに、//n何故こうも心に突き刺さるんだろう。
[player] ま、まあ? もうちょっと時間があれば、自分で解けたし?
[player] ……多分。
数時間後
[五十嵐陽菜] 全部終わった~~!
[-] 陽菜ちゃん自身の努力、私のサポート、//nそして最新テクノロジーの力強い支援の甲斐あって、//n夕方までに宿題を全部終わらせられた。
[五十嵐陽菜] やった! これでお母さんにバレる心配もないね!
[五十嵐陽菜] 今度お小遣いもらったら、//nPLAYERさんにいっぱいアイスをごちそうするね!
[player] あはは、楽しみにしてる。//nでも、嘘を誤魔化すのはこれで最後だからね。//nそれじゃあ、家まで送るよ。
[-] 陽菜ちゃんにいつもの明るい笑顔が戻ってきて、//n私は達成感を感じた。
[-] 五十嵐家
[-] しかし、喜びも束の間。//n陽菜ちゃんのお母さんとお会いした途端、//nその達成感は危機感へと変貌した。
[陽菜の母] そう。外に遊びに行ったのは、勉強を教えてもらうためだったのね?
[五十嵐陽菜] う、うん……。いくつか、わからないとこがあったから……。//nこれ、陽菜の宿題ドリルだよ。
[-] お母さんは、陽菜ちゃんが差し出した真新しい宿題ドリルを見ると、//n無言で後ろを向き、表紙が汚れた宿題ドリルを取り出した。
[陽菜の母] じゃあ、商業施設の方が届けてくださったこの宿題ドリルは何なのかしら?
[五十嵐陽菜] !!{var:Shake}
[-] まずい、あれはまさか……!
[五十嵐陽菜] PLAYERさん……! 陽菜、どうしたら……?
[陽菜の母] また友達を頼って、嘘を誤魔化してもらうつもり?
[-] 私は、心を鬼にして助けを求める陽菜ちゃんの視線から目を逸らし、//nその肩をポンと叩いた。
[player] 動かぬ証拠が揃ってるみたい。私たちの負けだよ、陽菜ちゃん。
[五十嵐陽菜] ……ママ、ごめんなさい!!!{var:Shake}
[五十嵐陽菜] 本当は宿題を終わらせてないこと、ママにバレるのが怖くて、隠しちゃったの!//nでも、その後、嘘をついたら鼻が長くなるって、//nこれは悪いことだって言われて……うわ~~~~ん!
[-] 陽菜ちゃんは、いつも猫ちゃん軍団を追いかける時のような速さで、//nお母さんの前でゴチンと音を立てながら勢いよく地面に膝をつき、//n泣きながら洗いざらい自白した。
[陽菜の母] ちょっと!
[陽菜の母] 何してるの!//n土下座なんて、一体どこで覚えたの!?
[五十嵐陽菜] この前、お母さんが麻雀しに出かけた時、//nパパと一緒に見たドラマでやってた!
[陽菜の母] あの人ったら……!//n子供になんてもの見せてるのよ~!
[-] 陽菜の母はさっと陽菜ちゃんを立たせると、//n苦笑して私に言った。
[陽菜の母] すみません、お見苦しいところを見せてしまって……。
[player] いえいえ、そんなことは! あはは……。
[五十嵐陽菜] うう~……! お母さん、陽菜、二度と嘘なんてつかないから……!
[陽菜の母] もう……。
[陽菜の母] 陽菜。お母さんね、この宿題ドリルを見た時、どんなことがあったのか、//nなんとなくわかったの。嘘をついて、物まで隠そうとするなんて!//nしっかりお説教しなくちゃって思ってた。
[-] お母さんはスマホを取り出した。//n画面には、書店のオンラインストアのページが表示されていた。
[陽菜の母] 学習ドリルって、たくさん種類があるのね。//n全部買って、陽菜にやらせようとしてたのよ。//nそうすれば、嘘をつこうなんて思わなくなるだろうって。
[五十嵐陽菜] そんなにたくさん……//n陽菜が十人いたってできないよぉ!//nPLAYERさん……!
[-] 再び、陽菜ちゃんが助けを求めてきた。//n実際のところ、この件については私も半分悪いと思うし、//nここは私が……!
[player] 陽菜ちゃんのお母さん。新しいドリルを買って、//n嘘を本当にするアイデアは私が出しました!本当に申し訳ありませんでした!//n私達二人とも深く反省してますので、どうかお許しを……!
[陽菜の母] あら……。陽菜が私を騙そうとしたことについては、確かに怒ってるわ。//nけど、雀士さんの行動は、陽菜を助けようと思ってのことでしょう。//n純粋な厚意でしてくれたことを責めることはできないわ。
[陽菜の母] ただし、噓をついた陽菜には、何かしらのお仕置きが必要ね。//n陽菜、元々の宿題ドリルもやりなさい。//n今度はちゃんと自分の力だけでやるのよ。復習も兼ねて、ね。
[player] それで許してもらえるんだったら……。//n陽菜ちゃん、頑張れる?
[五十嵐陽菜] も、もちろん!//n陽菜、頑張る! 今から!
[-] 陽菜ちゃんは涙を拭き、元々の宿題ドリルを持ってダイニングテーブルに座り、//n一生懸命取り組み始めた。
[-] しかし、数行書かないうちに手が止まり、//n頬杖をついてしまった。
[五十嵐陽菜] うぅ……。//nこの問題、さっきPLAYERさんが教えてくれたのに~……!
[-] どうやら、私が教えた問題はまったく身についていないみたいだ……。
[player] どれどれ、もう一回教えるよ。//nこの「宿題延長戦」を乗り越えたら、//n夏休み最後の日々を思い切り楽しもう!
[五十嵐陽菜] うん!!
[-] 思えばあの時、素直にお母さんに謝るよう促していれば、//n元々の宿題ドリルを終わらせるだけで済んだかもしれない。//nこの「居残り授業」は、まさに私の意志の弱さに対する罰なのだろう。
[-] 嘘を嘘で塗り固めようとすれば、結局は自らの首を絞めることになってしまう。//n今度似たようなことが起きたら、やり方をちゃんと考えないとな……。