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イブ・クリス お誘いを断る

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[選択肢]
・お誘いを断る
・お誘いを受け入れる
[-]キャットタワーのところを見てみると、いつもA-37が世話している猫たちが暴れだしていた。A-37が配達に出てしまった今、これは私がちょっと見に行かないと。
[-]でも店員としても私個人としてもイブさんの誘いを断りつらいし……。
[-]困っていたら、小鳥遊さんが隣の席をバッシングし終えてこっちにやってきた。
[小鳥遊雛田]プレイヤーさん、忙しいならお客様は任せて~。100点満点のサービスをご提供しま~す!
[プレイヤー]助かった! お願いします。
[-]イブさんを小鳥遊さんに任せて、隅っこの暴れん坊将軍たちを武力で制圧しにいった。
[-]だが、どうやら安心して任せるにはまだちょっと早かったかも。猫たちの世話をしている私を小鳥遊さんが慌てた様子で呼んでいる。行ってみたら頬を赤くしているイブさんが焦点の合わない目でユラユラしていた。
[イブ・クリス]あれ……この子、会ったことあるかも……なん、って言うんだっけ。んんん教えないで! 私記憶力に自信あるから、思い出せるから……あれ、なんて名前だっけ……っていうかあなた、いつまでも揺れないで……うぇ……気持ち悪い……
[小鳥遊雛田]アハハッ……どうやらカフェイン酔いみたいだね~。
[プレイヤー]カフェイン酔い?
[小鳥遊雛田]確かにこの前の店員研修でも、体質的にコーヒーと相性が悪い人がいて、カフェインを摂取すると有害反応が起こるから要注意だって店長さんが言ってたけど……本当にすこし飲んだだけでここまで激しく酔っちゃうような、すごい体質のお客様が来るなんて……。
[-]テーブルに置かれてるのは三分の二ぐらい飲まれたコーヒーのカップだけだもん。こんなの、私もはじめて見たかも~……。
[-]それに酔ったイブさんはスタイリッシュの欠片もないわがままな子供みたいに、すねた顔で私のエプロンを掴んで離してくれない。
[プレイヤー]イブさん、イブさん大丈夫ですか?
[イブ・クリス]大丈夫じゃない……すごいめまいがする……ウォッカを樽ごと飲んだような……。
[プレイヤー]……。
[-]いや、ウォッカを樽で飲んだらめまいどころじゃなくて普通死ぬだろう。百歩譲ってもICU搬送案件にはなりそう。
[-]礼奈ちゃんの許可を得て、小鳥遊さんと一緒にイブさんをスタッフ休憩室に移し、カフェインが抜けるまで休憩させた。
[-]意外なことに、イブさんは女性なら一度は夢見るようなバランスのとれたスタイルをしているが、想像の数倍以上の重さだった。特に右腕が私の肩を重く圧迫し痛かった。
[-]幸い本人はかろうじて意識が残ってたので、ある程度自力で歩くことができた。さもなければ休憩室まで運ぶのは一苦労だっただろう。
[イブ・クリス]ごめんなさい。ご迷惑をおかけして……。
[-]すこしだけ休憩したら、予想よりも早めにイブさんが目を覚ました。自分のカフェイン酔いな体質がとても恥ずかしかったようで、扉で体を隠しながらずっと私に謝っている。
[プレイヤー]本当に大丈夫ですから、イブさんが無事で何よりです! カフェインに弱い人もいることを失念していた私たちも悪いので、そんなに気にしないでください。
[イブ・クリス]お恥ずかしい……北国にはコーヒーがなくてお酒しかないので、コーヒーも所詮お酒のようなものだろうと思っていました。ですがまさか一杯にも満たない程度の量で倒れてしまうとは……私もまだまだ弱いということですね。
[プレイヤー]ち、違……そういう意味じゃなくて……
[-]誤解してしまったようでちゃんと説明してあげようと思ったら、イブはスマホの時刻を見て慌て出した。
[イブ・クリス]申し訳ありませんが、もう帰らなくては。本日はご迷惑をおかけして本当にすみませんでした。
[-]帰り支度をして店を出たところで、イブさんは振り向いて笑顔で言った。
[イブ・クリス]ですが、ここのコーヒー、大変美味しかったです。明日また参りますので、他のも挑戦させてください。今度こそ一杯で倒れないように頑張りますので!
[-]彼女の後ろ姿を見て、私はこう思ったのだ。
[小鳥遊雛田]イブさん、夏の風みたいな人だったなぁ~。
[-]……小鳥遊さんが心の声を代弁してくれた。確かに熱を帯びた夏の風のようにブワッとやって来てそして帰っていったけど、すごく印象的な人だった。
[-]忙しい一日ももうすぐ終わりだ。喫茶店も麻雀会館もいろんな人に出会えるし、似たようなものだと思った。明日もイブさんは来るのだろうか。