[南楓花] あら……今結論を出すのは、些か軽率ではなくて?
[セイラン] 南殿、遠路はるばる大儀であった。しかし、罪に問いたいがために尋ねて来られたのであれば、これ以上の話は無用であろう。
[セイラン] それに……南殿は、あの「聖祷の心」について、本当に何も知らぬのか?
[南楓花] あたくし、回りくどい言い方は好みませんの。事情を知るお方がいるとすれば、そのお方こそ犯人ではなくて? もしかして、青き鳥様は何かご存知でして?
[セイラン] ……お二方、お引き取り願おう。「三青斎」は正午で閉店だ。
[-] 南社長と私はセイランに追い出され、呆気に取られて「三青斎」入口で顔を見合わせた。南社長は、扇子から垂れ下がる房飾りを手で弄んでいたかと思うと、突然笑い出した。
[南楓花] あなた、あたくしは青き鳥様に厳しすぎるとお思いになったんじゃなくて?
[-] 私は頷いたが、南社長の不満げな眼差しを受け、すぐに身を硬くしつつ首を横に振った。
[南楓花] 素直でお可愛いこと。けれど、厳しすぎることはないんですの。青き鳥様は昔からああいう感じで、あたくし達の不仲も今に始まったことではなくてよ。あなたも早く慣れてちょうだいな。
[-] 南社長はそう言って、扇子の先で私の肩に軽く触れた。私は彼女の笑みをたたえた目から、他人の不幸を心待ちにしているような気配をうっすらと感じた……
[南楓花] あたくし、この後はお客様とのアポがございますの。調査の続きはあなたお一人にお任せしますわ。「探偵さん」、あたくしがいなくても手を抜いてはダメよ、きっちりお働きあそばせ。
[player] お任せください、社長。
[-] 私の返事に満足したのだろう、南社長は身を翻して去っていった。背後にある固く閉ざされた「三青斎」の正門を見やり、後でセイランさんにどうやって釈明しようかと考えた。
[-] はぁ……修羅場っていうのは、立ち会ってみないとその恐ろしさがわからないものなんだな。
[-] 空が明るいうちに、次の人を訪ねよう。誰だったっけ……
「三上邸」
[player] うぎぎぎ……いだだ……いぎが……!{var:ShakeScene}
[九条璃雨] これは、千織様の怒りを買った代償です。
[-] 璃雨さんにチョークスリーパーを決められ、私は目を白黒させながら遺言を口にした……
[player] ほんどに……きぎごみにきだだけあんだ~……
[-] 今回の聞き込みは、生死に直結しかねないものだ。事の発端は十分ほど前に遡る……
十分前
[-] 私は招待リストの順番に従い、三上邸へとやって来た。
[-] 中に入ってすぐに、リビングのテーブルに仮面が置かれているのが目に入った……朱色で鳥の頭の形。葵さんの説明とほぼ一致している!
[player] この仮面、どこで手に入れたの?
[三上千織] これが欲しいの?
[三上千織] ふん、だったらあげてもいいわ。璃雨、これはPLAYERにあげるから、包んでおいて。
[player] 待って、触らないで! これは重要な証拠品かもしれないんだ!
[三上千織] ……証拠品って?
[player] 簡単に話すね。「無双競売場」の大事な商品が盗まれたんだ。で、その犯人が、これとよく似た特徴を持つ仮面をつけてたらしいんだ! だから、この仮面をどこで……
[三上千織] 仮面をつけた……犯人?
[三上千織] あんた、璃雨がその犯人だって思ってるんじゃ……
[-] 千織の顔がどんどん紅潮していった。
[三上千織] それとも、この千織様が犯人だと?
[player] えっ、待って、そんなつもりじゃ……
現在
[player] とにかく、璃雨さん、私を信じて。ごくありふれた目撃者が、パシリの探偵もやってるってだけだから……
[-] 璃雨さんが解放してくれたので、私は首をさすった……やっぱり発言には気をつけないと……!
[九条璃雨] それで、今はどのような手がかりをお持ちなんですか?
[三上千織] 璃雨、PLAYERと口を利いちゃダメ。PLAYER……最っ低、ふん。
[-] 千織は私の「犯人が仮面をつけていた」という言葉に傷ついたらしく、私がいくら謝ろうと彼女は私に背を向けたまま座り、目の前のボードゲームをいじるばかりで全く口を利かなくなってしまった……
[player] あの、千織の怒り、あとどのくらい長引く?
[-] 璃雨さんは千織をちらっと見て、確信を持った様子で開いた手を掲げた。
[player] 五分?
[-] 璃雨さんは首を横に振った。
[player] ……五時間?
[-] 璃雨さんは険しい顔つきで、またしても首を横に振った。
[player] 五日間!?
[-] 驚きのあまり声を小さくすることも忘れてしまった。しかしそれでも、璃雨さんはただ首を横に振るばかりだった。
[-] ……だめだ、わからん! 五日よりも長いんだったら、もう土下座でもする以外に謝る方法が無いじゃないか!
[-] とはいえ、璃雨さんと話すうちに、私も思いついたことがある。
[-] それは、千織に聞こえないくらいの小声で質問をしつつ、璃雨さんに手がかりを見てもらい、頷くか首を横に振るかの動作で「はい」「いいえ」と答えてもらえばいいんじゃないか? というアイデアである。
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