[-] これはアトラクションだ。それを考えると、やっぱりルールに従うのが最善だろう。
[player] ……ハートの6だ。
[雛桃] あう……雛桃のカード、なのです……。
[-] 雛桃は顔を上げて私の方を見た。やめろ、その純真無垢過ぎる眼差しは俺に効く……! 私は後ろめたくなり、サッと目を逸らした。あくまでただのゲームであって、他意はない……よね?
[エリサ] はわわ……! オオカミさん、雛桃ちゃんを黒の女王の所に連れて行かせちゃうの?
[雛桃] あ、赤の女王なのです……
[エリサ] いいの? このままだと、連れてかれちゃうんだよ。
[雛桃] だ、大丈夫なのです。お母さんに、「まちがったことをした時は、正直に言いなさい。さもないと、わるい子になっちゃいますよ」って、言われてるのです。
[雛桃] ハートのジャックさん、クリスタルをこわしたのは、雛桃なのです!
[エリサ] 違う! 雛桃ちゃんは、ぽややんを助けるために、仕方なくクリスタルを壊しちゃっただけなの!
[-] エリサさんは雛桃の手を取って、毅然とした態度で雛桃の隣に立った。
[ハートのジャックA] 実に勇敢なアリス達だ。ではついて来い。
[-] ハートのジャックAは、二人と一匹を連れて、森の奥へと進んだ。ちょっと心配だな……ついて行こうと足を踏み出したら、ハートのジャックBに止められた。
[player] え?
[ハートのジャックB] 帰ってくれ。あなたには、この後の物語に参加する資格はない。
[player] これもルールか……わかりました。
[-] 私はハートのジャックBに案内され、アトラクションの入口へと戻った。
[player] あれ? 近くで、パレードでもあったのかな?
[-] 今いるアトラクションの入口付近が、ちょうど馬車のフロートの目的地になっているようだ。馬車が近付いて来てようやく、アリスに扮した雛桃とエリサさんが馬車に乗っていることに気付いた。馬車が停まると、少女達は馬車を降り、興奮した様子で私のもとへと走ってきた。
[雛桃] えへへ……うさぎさんは、アリスになるチャンスを雛桃たちにゆずってくれたのです。帽子屋さんが、そう言ってたのです。
[雛桃] 雛桃、赤の女王さまからのばつをうけたら、もううさぎさんにはあえなくなると思ってたのです……
[player] あはは……そうなの?
[エリサ] やっぱりエリサ達、オオカミさんの苦労や気配りを知らないで責めちゃってたんだね……!
[雛桃] 苦労……気配り? どういうことなのです? うさぎさん……つらいのです?
[-] 後ろめたさが「つらい」の範疇に入るなら、確かにちょっとつらいと言えるかも……?
[-] よし、この汚れを知らない表情……これ以上は何も聞くまい、そうすれば自分の印象が悪くならずに済みそうだし。
[-] 私は振り返り、入口に掲げられた「無限の可能性を探り、あなただけのエンディングを見つけよう」というPR文章を見た。次の機会があれば、別のエンディングを探してみよう。
categoryStory:
ending: