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番号札を挙げる「白雪の牡丹」1000万

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私は任務を果たすという目的を持ってこのオークションに参加している。だからリスクを冒さない方がいい。極限まで価格を絞り込めば安値で買える可能性もあるが、価格が下がるほどに危険は増す。それなら、今のうちに番号札を挙げよう。
それに、使うのは玖辻のお金だ。彼の偉そうな表情を思えば、後でカードのパスワードを入力する手も軽やかになる気がする。
そう思い、思い切って番号札を掲げると、意外にも私の左前に座っていた入札者も同時に番号札を掲げた。オークションのルールに則り、私たち二人で増額式オークションを行う。900万を最低価格として、50万ずつ値上げしていくのだ。
[競り人]十七番のお客はんが先に札を挙げたので、二十二番のお客はんから価格を提示していただきます。
[22番の入札者]950万。
私はすぐさま1000万を提示した。二十二番の入札者は私をちらりと振り返り、黙り込んだ。
カウントダウンが終わると、せり人が私の方を向いて頷き、これまでと同様に落札価格確認の段階に入った。
[競り人]1000万、一回。
[競り人]1000万、二回。
[競り人]1000万、三回。
[競り人]「白雪の牡丹」は1000万コインで落札どす。十七番のお客はん、おめでとうさんどす。
[ノア]ちょっと危なかったね。